為替相場で円高が加速したらどうなる?

先週末に発表された7月の米小売売上高は、事前予想を下回ったものの、市場が想定する範囲の伸びを示したことからさほど大きく材料視されず、ドル円は86円前半で週末を迎えた。金融市場では、米経済の悪化がほぼ織り込まれており、金利低下の勢いも以前ほど強くない。金利低下ペースに一服感がでれば、ドル売りの流れも弱まるのも自然であり、今晩も米経済にとってよほどの悪材料がない限りドル売りが大きく進むとは思えない。ただ、ドル円がドル買いに反転するほどの材料がないのも事実。今週発表が予定されている米経済指標は、小粒なものが多いため、今晩も含めドル円の動きはレンジ内での推移が続くと思われる。

このまま円高が加速したら?

テレビではニュース番組ではないワイドショーのような番組でも特集を組んでいました。その解説をたまたま見ていて、ふと気になったことがあります。ふだん為替や投資に関心を持っていない視聴者も多いかと思うのですが、かなり不安を煽るような取り上げ方をしていたのです。

 

円高⇒輸出企業にダメージ⇒株価下落

という流れは市場を見ている人にとっては当然のことと受け取れますよね。

これを受けて

⇒企業からの法人税収減/個人の所得税収減/買い控えなどから消費税収減

⇒財政不安

たしかにこの流れもこのまま円高が加速すればありえます。でも・・・

⇒国債発行増⇒預金封鎖も!⇒日本破たん!!

 

国債の発行を支えているのは日本の金融機関が主で、つまり私たちの預貯金がその資金源であることは事実ですが、一足飛びに預金封鎖、日本破たんという衝撃的な流れを当たり前のように解説するのには驚きました。

 

そもそも財政不安の懸念が出てくるときに円が買われ続けているという前提には疑問があります。不安のある国の通貨は売られるのが常ですよね。今日本円が買われている=強いのは投資家が確固たる信念として日本円を好んでいるのではなく、米ドルやユーロを売る対価として消極的選択の結果に過ぎません。もちろん、こうした消極的な理由だからこそ、大きく為替の流れを反転させるイベントが起こりにくいというマイナス事情もありますが・・・。

 

もし、日本に対し不安感が出て円安に反転すれば、上記とは逆の流れで株式市場にはプラスの影響も考えられます。税収減から国債発行必須と至るまでの時間より、生き物である市場の反応の方が通常は速いと考えられますから、一気に預金封鎖などといった大ごと(そもそも先進国でこれはない!と個人的には思います)にはならないのではないでしょうか。

 

ところで、前述したように今回の円高は日本が標的になって円買いを仕掛けられているわけではありません。95年の史上最安値を記録した時のように市場がプロの闘いの場に限定されているのではなく、FX取引経由の個人投資家の存在も大きく、そのため「仕掛け」ではない、「買い下がり」も多いとのことです。

 

またユーロ圏にしても、米国にしても自国通貨安に誘導したい現在(当時とは先進諸国の経済事情が異なります)、協調介入を頼める状況ではないです。日銀の介入は?とよく聞かれますが、単独介入しても効果はあまり期待できないでしょう。

 

米国の景気状況に明かりが見えるきっかけでもないと、残念ながら反転しにくい相場なのかもしれません。とはいえ、日銀が無策のまま静観している状況は大きな問題で、市場に何らかのメッセージを投げ続けることは必須だとは思います。

 

為替相場の注目ポイント

政府・日銀の円高対策・・・実弾介入は実現性低く円高阻止は困難か

欧州PIIGSの信用不安再燃・・・スペイン、アイルランドの国債入札に注目

欧州金利の低下・・・独連邦債利回りの過去最低更新でユーロ売り加速も

英中銀議事録・・・ハト派的内容なら追加緩和観測が高まる可能性

RBA議事録・・・ハト派的内容で利上げ打ち止め観測高めるか

 

●重要な経済指標発表

 

21:30

米 ニューヨーク連銀製造業景気指数(8月)

予想 8.30 前回 5.08 

 

米 対米証券投資(6月)

予想 457億ドル 前回 354億ドル